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部屋に飾った一枚の絵。それは、どこかで誰かがつくったものだ。
工場で大量に刷られたポスターではない。アーティストが考え、試し、手を動かして、一枚一枚仕上げたもの。その向こう側には、いつも「人」がいる。

版画の場合、版をつくるだけで何日もかかることがある。銅板に細い線を一本ずつ彫る。木の板を少しずつ削る。
その手仕事のひとつひとつが、作品の表情をつくっている。機械では再現できない、手の痕跡。それが、作品に温度を与えている。

アーティストというと、特別な存在のように感じるかもしれない。でも、当然ながら日常がある。
朝にコーヒーを飲んで、散歩をして、ふと見た光景にインスピレーションをもらう。そういう日常の延長線上に、作品がある。
それを知ると、作品がぐっと近く感じられる。遠い世界のものではなく、誰かの暮らしから生まれたもの。

ARTiATEには、6人のアーティストの作品がある。銅版画、木版画、写真、日本画、シルクスクリーン。ジャンルはさまざまだ。
それぞれのアーティストに、それぞれの表現がある。繊細な線を重ねる人。色の鮮やかさで語る人。静けさを描く人。
どのアーティストが好きか。それも、ひとつの「好き」の発見だ。

作品を見て「いいな」と思う。それだけでも十分だ。でも、つくった人のことを少し知ると、見え方が変わることがある。
この線は、どんな気持ちで引いたのだろう。この色は、何を見て選んだのだろう。想像するだけで、作品との距離が縮まる。
知識ではなく、想像。それだけでいい。

アーティストが手を動かし、一枚の作品ができる。それが梱包され、届けられ、あなたの部屋の壁に掛かる。
その一枚には、つくった人の時間と、選んだあなたの感性が重なっている。大げさに言えば、それは対話のようなものかもしれない。
作品を通じて、まだ会ったことのない誰かとつながっている。
「わからない。でも好き。」
その気持ちが、アーティストにとっても、きっといちばんうれしい言葉だ。
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Writer 「わからない。でも好き。」——感性で選ぶアートとの出会いを届ける。 |