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部屋を見渡してみる。壁には何が掛かっているだろうか。
カレンダー、時計、何もない白い壁。それが悪いわけじゃない。でも、もしそこに一枚の絵があったら。部屋の空気は、ほんの少しだけ変わる。

絵を飾る前と後で、部屋の広さは変わらない。家具もカーテンもそのまま。間取りだって同じだ。
でも、不思議と「帰ってきた」という感覚が変わる。ただの空間が、自分の場所になる。それは言葉にしづらいけれど、たしかに感じるものだ。
インテリアの雑誌にあるような劇的なビフォーアフターではない。もっと静かで、もっと個人的な変化。

絵を飾るということは、自分の「好き」を部屋の中に置くということだ。
普段、好きなものは目に見えない場所にしまわれている。好きな音楽はイヤホンの中。好きな映画はスマホの中。好きな香りは、つけた瞬間だけ。
でも絵は、そこにいつもある。朝起きたとき、帰宅したとき、ぼんやりしているとき。自分の「好き」が、いつでも目に見える。それだけで、少し安心する。

絵の面白いところは、時間帯によって見え方が変わることだ。
朝の光が当たると、明るくやわらかい印象になる。夕方になると、影が落ちて、少し静かな表情になる。夜、間接照明のもとでは、また違って見える。
同じ絵なのに、毎日ちょっとずつ違う。そのことに気づく瞬間が、案外いい。

壁に掛けなくたっていい。棚の上に立てかけるだけでもいい。床に置いてもいい。
高さも場所も、ルールなんてない。自分が心地いいと思える場所に、自分の好きなものを置く。それだけだ。
完璧なレイアウトを目指さなくていい。むしろ、ちょっとラフなくらいが、暮らしに馴染んだりする。

おしゃれな部屋にしたいわけじゃない。誰かに見せたい部屋にしたいわけでもない。
ただ、自分が帰ってきたときに、「ここ、わたしの場所だな」と思える空間にしたい。絵は、そのきっかけになる。
大げさな模様替えはいらない。一枚あるだけで、十分。
「わからない。でも好き。」
そう思える一枚が、きっと見つかる。それで、きっといい!
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Writer 「わからない。でも好き。」——感性で選ぶアートとの出会いを届ける。 |